最近の遭難について

今年も、お正月が明け、何組かの登山者(スノーボーダーも)が遭難して、救助を要請し、県警のヘリや、防災ヘリによって救助されたことは、記憶に新しいことと思います。 お天気を読んで(寒いのは当たり前)引き返していればという遭難も多かったと思っています。

私も、今や、冬に一回か二回しか3000mの冬山には登っていないし、現場のことは評論すべきではないというのが信条ですが、あまりにも、安易に携帯を使い、ヘリコプターを呼んでしまう、今の風潮を見るにつけ、一言申し上げたくなりました。

以前、足をくじいて、携帯で救助を要請し、民間のヘリしか出れないので、有料になるといったとたん、「それなら、自分で降りる」といって電話を切った登山者や、予備日を持たずに山に入り、会社に間に合わなくなるからと、ヘリを使ったという、言語道断な登山者の話は県警の皆さんからも聞いていました。

私も、山で落石を受け、足の骨にひびが入っていても、なんとか自力下山をしたり、足や顏に凍傷を負って、命からがら下山したことは一度や二度ではありません。 ねんざ程度なら、這いずってでも自力下山すべきと思います。 しかし、夜に、警察から電話がきて、西穂山荘からの下山中にねんざをしたとか、疲れて動けないとか、暗くなったから、来てくれとか、要請があると、救助に行かねばならない立場なのです。しかも、そんな時に限って、宿は満室で忙しいことが多いのです。

 今回も、低体温症になったという理由で、ヘリを呼んだが、実は食料や燃料が切れ、その後の天気が悪くなるからという理由で、危険な気象状態の中、防災ヘリを飛ばした登山者もいました。

いったい、ヘリをなんだと考えているのか? 最初から、登山計画の中に、やばくなったら携帯を使ってヘリを呼べばよく、それは、恥ずかしいことでもなんでもないと思っているのでしょうか? ヘリを飛ばすのに、どれだけの税金がかかるか考えてみれば、あまりにも、我儘なことだと思います。 一時長野県では、ヘリの燃料などの実費を請求すべきだという議論まで生まれたほどです。

少なくとも、冬山に向かうパーティーは、登山計画書を提出するのは当たり前として(でも提出率は30%以下)、吹雪の稜線を余裕を持って歩けるようなエキスパートを除いては、予備日と食料や燃料をその分持つべきですし、天候を読んで、エスケープルートを自らの力で降りることができることが最低条件。 携帯電話や、ヘリコプターは、それでも、どうしようも無くなったときに心の中に隠しておくものだと思います。もちろん、最悪の状態になる前の判断も大事ですが・・・

30年ほど前、ヘリのレスキューが当たり前だった(もちろん保険に加入)ヨーロッパの氷壁で、友人が登れなくなり、ヘリを要請したとき、あまりにも、件数が多いので、降りるためのアイスピトンと、長いザイルをヘリから吊り下げて渡しただけで、機材の費用は、後で請求されたことを覚えています。

自己責任という言葉がありますが、人に迷惑をかけないこと、セルフレスキューができないような、自分に不相応な山(これが判断できる人はそんなことはないだろうなぁ)には向かわないこと。行くなら、それだけの鍛錬を積んでほしいと思うのです。

まだまだ若輩者が、偉そうなことをいってすみません <m(__)m>

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