上高地のホームページについて

 1月も終わりになろうとしています。もう、2か月もすれば、入山の季節を迎えてしまうのですが、先輩からこう言われたものです。「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」と、言い得て妙だと思います。

 2月から予約の受付を始める宿泊施設も多く、昨年までは3月からだった、帝国ホテルさんも2月からになったそうです。

 さて、今度2月に、メジャーバージョンアップする、上高地公式ホームページは、もう、4代目か5代目(^_^;)となるはずです。思い出せば、1997年に、WEBがこんなに影響力があるものになるとは思わず、旅館組合の中で、とりあえずやってみようということで、私に白羽の矢がたったのでした。予算はほとんどありませんでした。

 だいたい、自分の家のページも作っていなかった、素人の私ですが、苦労してなんとかドメインを2個取り、今思えば、超シンプルなページを立ち上げたものでした。 その時の目標は、”上高地の今を知っていただく”ということでした。 新緑や、紅葉シーズンになるとかかってくる電話は、「今、新緑ですか?」とか、「紅葉は盛りですか?」などというのばかりで、それに対して、自分の感覚で、答えていたのですが、実際に来ていただいたお客さんの感覚とは異なり、お叱りを受けたこともあったのです。

 それは、「新緑」ひとつとっても、人によってとらえ方が違うからでした。5月中旬のほんとに、若葉がでできて、萌黄色になっているのが、新緑という人もいれば、5月終わりのもう少し葉が出揃って緑が少し濃くなったころが、新緑だという人もいます。紅葉も同じです。 そこで、まず、デジカメ(その頃はそんなにいいのはなかった)で写真を撮り、自分の目で見ているのと同じにパソコンに映るように、色を調整して、新着情報に載せたのです。これなら、自分の目で判断していただけると思いました。しかし、その季節になると、毎日写真を入れ替えるので、スキルが無い私には結構大変でしたが、そのうち慣れました。

  その頃、PTAの会長をやらせていただいたのですが、松本市のPTAのホームページも担当となり、上高地で磨いた技術?で行事のたびにHPを更新したので、結構役にたったようです。ちなみに、西糸屋のHPは、ようやく2001年の春に完成しました。西糸屋のページについては、またの機会に書きたいと思います。

 だんだんとネットが影響力を持つようになり、組合の上層部の皆さんも、予算をかけて、もっと立派なページを作ろうということで、ページは、私の手を離れ、業者さんが創るようになり(といっても、WEB委員会で討議しますが・・)見栄も、内容もだんだんと素晴らしいものになってゆきました。 西糸屋に最初から設置した、手作りのライブカメラ(製作費1万円)は、公式ページの一角に使っていただきました。その後、上高地のページは、何回かのバージョンアップの末、今のページになっています。

 いまのネットの世界は、ポータルサイトの一番上に来るために、必死になっているような気がします。確かに、商売的にはそれがいいのかもしれません。しかし、最近の食べログみたいに、「やらせ」の記事が出たり、一番上には自分の本当に探しているものが表示されなくなっているのはどうかと思います。私は、最近は、大体2ページ目から5ページ目を良く見るようにしています。

 来ていただくお客様が、どんな情報を欲しているのかを、原点に戻って考える時期に来ているような気がしてなりません。アクセス解析のみで判断してはいけないのかも・・・ (@_@;)

1月17日現在の上高地

yake0117.jpg1月17日、例によって、施設の見回りと点検のため、上高地へ行ってきました。朝のうちは、曇っていましたが、すぐに晴れてきて、きれいな穂高連峰や焼岳を見ることが出来ました。風も無く、気温は0℃まで上がり、外に居れば気持ちがいいのですが、施設の点検なので、そうもいってはいられません。施設の中は、-5℃以下になっているので、寒いこと寒いこと・・・・

 西糸屋の裏1

雪の量は、本当に少なく、せいぜい50センチくらいしかありません。お正月は、とっても寒くて、-20度以下になったそうですが、風はあまり強くなかったようで、いつもなら、一階の屋根の近くまで積もっている吹き溜まりも、全然大したことがありません。

西糸屋の裏2

この2階の屋根も、風が強ければ、雪は吹き飛ばされているのですが、静かに積もったようで、しっかりと付いています。これが、落ちずに、3月となり、さらに積もって、下の部分が氷の板となり、滑り落ちるのが怖いです。

以前3月終わりに見回りに行ったとき、すべてが落下して、太いボイラーの煙突が折れてしまって、開業までに直すのに必死の思いをしました。

 まぁ、こんな感じで、冬の間に、何回か見回りに行き、施設の破損の危険を感じた場合は、その場で雪下ろしを行うこともあります。

最近の遭難について

今年も、お正月が明け、何組かの登山者(スノーボーダーも)が遭難して、救助を要請し、県警のヘリや、防災ヘリによって救助されたことは、記憶に新しいことと思います。 お天気を読んで(寒いのは当たり前)引き返していればという遭難も多かったと思っています。

私も、今や、冬に一回か二回しか3000mの冬山には登っていないし、現場のことは評論すべきではないというのが信条ですが、あまりにも、安易に携帯を使い、ヘリコプターを呼んでしまう、今の風潮を見るにつけ、一言申し上げたくなりました。

以前、足をくじいて、携帯で救助を要請し、民間のヘリしか出れないので、有料になるといったとたん、「それなら、自分で降りる」といって電話を切った登山者や、予備日を持たずに山に入り、会社に間に合わなくなるからと、ヘリを使ったという、言語道断な登山者の話は県警の皆さんからも聞いていました。

私も、山で落石を受け、足の骨にひびが入っていても、なんとか自力下山をしたり、足や顏に凍傷を負って、命からがら下山したことは一度や二度ではありません。 ねんざ程度なら、這いずってでも自力下山すべきと思います。 しかし、夜に、警察から電話がきて、西穂山荘からの下山中にねんざをしたとか、疲れて動けないとか、暗くなったから、来てくれとか、要請があると、救助に行かねばならない立場なのです。しかも、そんな時に限って、宿は満室で忙しいことが多いのです。

 今回も、低体温症になったという理由で、ヘリを呼んだが、実は食料や燃料が切れ、その後の天気が悪くなるからという理由で、危険な気象状態の中、防災ヘリを飛ばした登山者もいました。

いったい、ヘリをなんだと考えているのか? 最初から、登山計画の中に、やばくなったら携帯を使ってヘリを呼べばよく、それは、恥ずかしいことでもなんでもないと思っているのでしょうか? ヘリを飛ばすのに、どれだけの税金がかかるか考えてみれば、あまりにも、我儘なことだと思います。 一時長野県では、ヘリの燃料などの実費を請求すべきだという議論まで生まれたほどです。

少なくとも、冬山に向かうパーティーは、登山計画書を提出するのは当たり前として(でも提出率は30%以下)、吹雪の稜線を余裕を持って歩けるようなエキスパートを除いては、予備日と食料や燃料をその分持つべきですし、天候を読んで、エスケープルートを自らの力で降りることができることが最低条件。 携帯電話や、ヘリコプターは、それでも、どうしようも無くなったときに心の中に隠しておくものだと思います。もちろん、最悪の状態になる前の判断も大事ですが・・・

30年ほど前、ヘリのレスキューが当たり前だった(もちろん保険に加入)ヨーロッパの氷壁で、友人が登れなくなり、ヘリを要請したとき、あまりにも、件数が多いので、降りるためのアイスピトンと、長いザイルをヘリから吊り下げて渡しただけで、機材の費用は、後で請求されたことを覚えています。

自己責任という言葉がありますが、人に迷惑をかけないこと、セルフレスキューができないような、自分に不相応な山(これが判断できる人はそんなことはないだろうなぁ)には向かわないこと。行くなら、それだけの鍛錬を積んでほしいと思うのです。

まだまだ若輩者が、偉そうなことをいってすみません <m(__)m>